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診療所の経営・相続Q&A「最適化と生産性」

0001Q:おかげさまで事業の拡大と共に新規スタッフ採用をしてきました。しかしスタッフによる能力の差にバラつきがあり、ベテランスタッフに頼ってしまいがちです。属人性は排除したいのですが、適材適所の効率性も損ないたくありません。どう進めればよいでしょうか。


A:マネジメントの問題として捉え、より大きな生産性に組織としてどう挑戦するか。

業務のポイントは「気づき」

電話対応をされる方が決まっていたり、患者さんを案内される方が決まっていたりと、スタッフ同士である程度役割分担されているクリニックも多いと思います。しかし、特定のスタッフに頼ったままでは、その方が体調不良でお休みされると、たちまち仕事が回らなくなってしまいます。かといって、ローテーションにすると、品質が落ちたり大事なところが抜けていたりということがあります。フォーメーションという問題と、業務効率という問題。どう組み合わせれば最適化するか。

私が多くの先生方とお話しさせていただく中で、なるほどここがポイントだと感じることがあります。それは、オペレーションの問題として捉えるのか、マネジメントの問題として捉えるのかによって、採るべき対策も変わってくるということです。

例えば、あるスタッフには大きな信頼を置いているが、他のスタッフは業務内容によってバラつきがあり、安心して任せられるレベルに至っていない・・・。なぜ安心して任せられないのか、他のスタッフたちには全く分からないのです。

そこで、一番レベルの高いスタッフのやり方を他のスタッフに教えてもらう。それをマニュアルとしてまとめていきます。すると、「これが自分と違う所なのか」と気づくポイントが随所にあります。この「気づき」こそが「業務のポイント」、マニュアルとして標準化すべき内容です。一人の優秀なスタッフが自分の頭の中だけでやっていると、このような気づきは生まれません。分からない人と一緒にやるからこそ、標準化、マニュアル化の意味があります。

それぞれの役割を組織の目標・ビジョンに繋げる

また、概してメンバーが多くなってくると、オープニング当初のような組織としての一体感、強い絆は薄らいでいくものです。院長が何を目指しているのか、理念やビジョンは分かってはいても、それが毎日の自分の業務にどう繋がっているか、実感が得られないのです。生産性を削ぐ最大の要因は、このような組織の問題、軋轢にあることが少なくありません。

しかし、業務の一つひとつを皆で見直し共有すると、自分たちの業務・役割がどのようなレベルを目指しているのか、目標とするレベルが明確になっていきます。言い換えれば、それぞれの役割が、組織の目標・ビジョンにどう繋がっているのか明確になるということです。

最初は例えば、「心地よく過ごしてもらえるような待合室にしたい」というような、些細な目標かもしれません。しかし、自分たちのチカラでそこに到達できれば、その実感は、次のステージ、次のビジョンへのエネルギーになります。

このように、マネジメントの問題として捉えると、ローテーションや業務効率ではなく、より大きな生産性に組織としてどう挑戦していくかということが問題の本質なのだと気づかされます。

そして、問題の本質さえ明確になれば、すでに解決策は先生の中に様々に浮かんでおられるのではないでしょうか。

(2018年10月11日 医療事業部 主任 奥野秀佑)

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  • 事業形態 医療・介護
  • 種別 レポート

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